関の彌太ッペ (1963)

生き別れの妹を探して旅から旅の関の彌太郎は不幸な娘を商家に送り届け、10年後に幸せな生活を送る娘と縁あって再会する。おなじみ長谷川伸の原作を、成澤昌茂が脚色し、山下耕作が監督した股旅もの。撮影は古谷伸、音楽を木下忠司が担当した。

監督:加戸敏
出演:中村錦之助、木村功、十朱幸代、大坂志郎、夏川静江、鳳八千代、安部徹、月形龍之介、岩崎加根子

関の彌太ッペ (1963) のストーリー

常陸の国結城在、関本に生れた弥太郎、人呼んで関の弥太ッぺ(中村錦之助)は、十年前両親に死に別れ、祭りの晩にはぐれた当時八つの妹お糸を探して旅を続けていた。旅の途中、甲州街道吉野の宿で、溺れかかっていた娘お小夜を救った。ところが、弥太郎がお糸のためにと肌身離さず持っていた五十両の大金を、お小夜の父和吉(大坂志郎)にすり盗られてしまう。その和吉も箱田の森介(木村功)に斬られ、追いかけてきた弥太郎にお小夜を旅篭“沢井屋”に届けてくれと頼みながら息をひきとった。弥太郎は約束通り、お小夜を沢井屋に送り届ける。沢井屋の女主人お金(夏川静江)は、緑もゆかりもない子供と拒絶したが、十三年前誘拐された娘の落し子と知って驚喜した。父の死を知らないお糸に弥太郎は「…この娑婆には辛い事、悲しい事がたくさんある。だが忘れるこった。忘れて日が暮れりゃあ明日になる…ああ、明日も天気か」と娘を励まそうと明るい顔を見せる。その後、森介から取り戻した五十両を沢井屋に置いて、その場を立ち去る。それから十年、弥太郎は、お糸の病死を賭博田毎の才兵衛(月形龍之介)から知らされ、すさんだ生活に身をおとし、飯岡の助五郎一家の客人となっていた。笹川の繁蔵一家との喧嘩に加わった弥太郎は十両が縁で兄弟分の契りを結んだ森介の姿をみつけた。一緒に大綱楼にくりこんだ弥太郎に、才兵衛は、お小夜の恩人を探してくれるよう依頼されたと話した。が弥太郎は、黙っていた。森介と別れた弥太郎は、吉野宿の祭礼でお小夜らしい娘(十朱幸代)を見つけてハッとした。沢井屋の裏手で、夕闇の中にお小夜の姿を認めて身じろぎもできない、純心な弥太ッぺなのだ。才兵衛から話を聞いた森介は、お金の前に自分がお小夜の恩人だと名のり出た。そしてお小夜を嫁にときり出した。恩人と信じこむお金も、あまりのたけだけしい森介に当惑する毎日だった。腕ずくでもと血迷う森介の噂を聞いてかけつけた、弥太ッぺは、宝物のように大切にしてきたお小夜のために、兄弟分の縁を切って斬り捨てた。そして森介が詐し取った四五両の金を返す弥太ッぺをじっとみつめるお小夜の脳裏に、十年前の弥太ッぺの面影がよみがえって来た。“待って下さい”と追いすがるお小夜をあとに、かねて約束の助五郎一家との果し合いをせかせる、暮六つの鐘の音が鳴り響いた。一本松へといそぐ弥太ッぺの姿も心もちか、淋しい日暮れであった。

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